タイトル未定
        <0:Pride>  















――君を、待っていた









僕たちに受け継がれた、この力
今、最も薄い水色から
最も深く、濃い青が生まれた
その理由

辛い運命を負わせて、すまないね

君に安らぎも与えられない
不甲斐ない父親だったけれど
僕は君を
確かに、愛していたよ

君は一人の人間として
望まれ、生まれてきたのだと
決して運命の為に望まれたのではないと
信じてほしい

僕の役目は終わる
さあ、今度は君が、歩き出す番だ
わたしは淡い空となって
ずっと見守っているから

どうか忘れないで
全てを包み込む
深く、温かな海の底の瞳こそ

君こそが、この地を継ぐ者なのだと









時は流れ
その仲違いは、未だ、終わらず

訪れた僅かな平穏を打ち破るのは
憎み憎まれ、また憎む
限りない負の連鎖
蘇る悪夢

けれど数多の屍を越え
幾多の犠牲を払い、遂に
闇を切り裂く者が
誰もが待ち望んだその人が
舞台に、姿を現した

そして
彼らを護るのは

淡い色で微笑む大空が
紅に煌めく薔薇の精が
愛し、慈しみ
命を懸けてこの世に遺した、海









悔しかった
守られてばかりで
見ることすら出来なかった、自分が

疎ましかった
立派な名を冠すばかりで
何ひとつ為し得なかった、この力が

変わりたかった
母にも、父にも、
祖母にも、祖父にも、先祖にも、
友人にも、そして――君にも、
誰にも、恥じることのない自分へ
変わりたかった

だから、

俺に出来ることが
俺だから出来ることが、あるのなら

決して逃げたりはしない
考える事をやめたりしない
満ち溢れる声を聴き入れて
誰かの力を借りてでも

それでも
守り抜くと決めたんだ

だって君達は、俺の誇りだから
何より君達が、俺の誇りだから









一千年の長きを経て
辿り着いたのは
深い深い、深海の瞳

誰もを受け入れ包み込む
始まりの場所へ
全てが還る、時が来た









何をされたって、構わない
ただ、
俺の誇りを穢そうというのなら
誰だろうが、何だろうが
打ち破ってみせる

そして、生きよう
彼らが願い
けれど叶わなかった
幸せな未来を









俺は、見えない運命を、畏れたりしない









*子世代 プロローグ

◎エリック・ホグワーツ

クリストファー、ウィリアム、シャロンの孫、スティーブとローズの息子。
リーマスの名付け子、プライドの主。
ホグワーツ継承者、薔薇水晶の守り人。
グリフィンドール所属。
ホグワーツ継承者の歴史上、最も濃い瞳を持つ。
そのため他人の僅かな心情にも敏感で、若干人嫌い。
一方で「大家族」や「大勢の友達」など、人間の側で過ごすことへの憧れが大きい。
両親の死後、名付け親リーマスの元で育てられた。
幼少期には学校の敷地で過ごした事がある。
事を為す時、結果的には誰かの助けを借りる事を厭わないが、そこに至るまでが少し頑固。
皮肉屋の気がある。



◎プライド

エリックの使い魔。
耳と尾の先が金色、他は黒の体毛を持つ雄猫。
少し乱暴で一見取っ付きにくいが、本当は子供好き。
文句は言うものの、主への忠誠心は先代・先々代にも劣らない。
自分がエリックの親か兄代わりにならなければ、と思っている。









「タイトル未定」
子世代。構想中の時のタイトルは全然違っていました。
三部作で最も設定がややこしい。※現在また考案中

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