Lady Crystal
        <-3:Noble>  















――ずっと、あなたの傍に居たかった









お前達の間に、何があったかは知らない
知っているのは
彼女が俺の傍へ来たという、その事実だけ
だから、言わせてもらう
裏切ってなど、いないよ

何でも言い合える関係だった
例え意見が合わずとも
俺達が決別することは無かった
筈なのに

いつからだ
お前が、俺を信じなくなったのは
お前が、彼女を愛せなくなったのは
俺が心の底から、お前の死を願うようになったのは

ただ、最期にもう一度だけ
お前へ優しさを向けるなら

――トム、
戻ってこい、こちらへ









影が、忍び寄る

絡み合い、縺れた糸
彼はそれを、見逃しはしなかった
けれどその先に
闇を見ることを、知っていた

だから
優しさの仮面で
内に持つ鋭さを包み、隠した

舞台裏で一人、道化を演じた
その聡明な蒼は
誰にも告げずに、全ての軌跡を失った
繋ぐことの出来なかった、空白の一日
途切れた記憶

彼は知らない
役者は未だ誰ひとり、舞台から下りてなどいないということを

心を惹き付けてやまない
凄艶な笑顔の、美しい少年
友を手に掛け、闇に染まった稀代の天才

ほんの少しの優しさを内に秘めた
精悍な瞳の、美しい少年
死して尚、友を縛り付けた一角獣の紋章

そして、
誰よりも誇り高く誰からも愛された
透き通るように、美しい少女
紅の輝きを放つ、レディ・クリスタル









少し前なら、ありがとう、と答えた
けれど今となってはもう
貴方に応えることは、出来ない

この力が
常に光の元に在ったと云われている限り
私には、その歴史を守る義務がある
それがきっと、私の、運命

どう転んでも、それが運命ならば私達は逆らえない

ずっと、そう、信じていた
何にも、誰にも逆らわなかった

だけど、生まれて初めて
願ってしまったの
それが例え、運命に逆らうことだとしても
もう一度、三人で笑い合いたいと

好きよ、トム
だからこそ私は、貴方を拒むことにする









*リドル世代 プロローグ



●ウィリアム・マリーゴールド

トム・リドルの同室で親友、シャロンの夫。
マリーゴールド家(一角獣に命の水の家紋)当主。
スリザリン寮。
大抵の事に無関心で無愛想。
一方で、一度身内と認識した人間に対する情は厚い。
トムの為にシャロンを諦め、身を引こうとした。
暴れ柳を人工的に作りだした人物。
娘が5年の時にヴォルデモートに殺される。



●シャロン・ロゼリア

トム・リドルの想い人、ウィリアムの妻。
薔薇水晶の守り人、「レディ・クリスタル」。
レイブンクロー寮。
正義感と責任感が強い。
自分を利用しようとするトムの意図に気付き、ウィリアムを選んだ。
同寮の嘆きのマートル、1学年上のグリフィンドール生ミネルバ・マクゴナガルと親しい。
娘が5歳の時にヴォルデモートに殺される。



●クリストファー・ホグワーツ

ハグリッドの友達、ノーブルの主。
ホグワーツ継承者。
ハッフルパフ所属。
継承者にしては抜けている所が多いと言われていたが、本来は誰よりも鋭く賢い。
自身が3年の時、秘密の部屋事件の真相を突き止めたが、トム・リドルに記憶を消される。
ハグリッドの無実を訴えた。



●ノーブル

クリストファーの使い魔。
白く毛の長い雌猫、気位が高い。
主へ恋愛感情に近いものを抱く。
クリストファーが独自に事件を探る間、彼の指示で一切それに関わることが出来なかったことを悔いている。









「Lady Crystal」
リドル世代。私の魔法三部作で最もどろどろした展開の話。
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130917